- 空き家バンクに空き家を登録したい
- 空き家バンクに登録されている空き家を購入したい
鳥羽空き家バンクを訪れていただけている方は、そんなお気持ちを持っていただいているかと思います。空き家バンクへの登録の方法や内覧希望申込み方法は、ばっちり把握!していただき、登録または内覧を申込みしようかな...と思っていただけた反面、何だか目に見えない不安を抱かれていませんか?
そこで、これから空き家バンクを利用される方が少しでも不安を解消していただくため、実際に空き家バンクで空き家を売却した方と購入した方にお話を伺い、生の声を当ページにまとめてみました。
ご協力いただいたのは、
- 空き家バンクを利用して空き家を登録・売却された「湯本さん(写真 右)」
- 空き家バンクを利用して空き家を購入した「佐藤さん(写真 左)」
のお二人です。
空き家の売却・購入にあたってどのような事に取り組み、どのようなお考えを持たれていたのかを赤裸々にお話いただきましたので、「鳥羽市空き家バンク」ご利用のご参考にしてみてください。
空き家を売却された「湯本さん」に聞く
湯本さんが売却した空き家は昭和52年8月に新築した建物です。湯本さんご夫婦は当時、国有形文化財「大庄屋かどや」さんの2階を間借りして住み、売却物件にはお兄さんとお姉さん、湯本さんの3人の子ども達が住んでいました。また、お住まいとしてだけでなく、お姉さんがおもちゃ屋などを営まれていました。
空き家となったのはいつ頃ですか?
平成元年頃です。その時には姉と兄も亡くなっていました。同時期に、私は鳥羽市内に中古物件を購入しまして、空き家となった建物は約30年間ほど、定期的に窓の開け締めや掃除をしていました。仏壇は現在の家に移しています。
約30年間、空き家として維持・管理されていたのは何故ですか?
子供達の誰かが住んでくれればいいかなって思っていました。ただ、3人とも新しく家を建ててしまいまして。空き家を更地にしても解体のお金や土地の税金がかかってきますから、子供達は空き家を欲しいとは言いませんでした。
空き家バンクに登録したきっかけは?
息子と相談したんです。そうしたら、不動産会社に連絡をとってくれました。電話をもらって、家の中の様子や駐車場があるかどうか、買取希望額はいくらかと受け答えをしたんですけど、しばらく経ってから断りの連絡がありましてね。
不動産会社からのお断りは、「駐車場がなかったから」が理由とのこと。また、他の不動産会社への相談はされませんでした。
そこから、また息子が市役所の方に繋いでくれて電話で相談をしたんです。それで、空き家バンクで売却先を探してもらえるってことになったんですわ。
空き家を売却するにあたり大変だったことは?
空き家バンクへの登録の後が大変でした。佐藤さんに購入いただけることになってから、建物は私の名義なんですけど土地の名義が兄になっていることが判明しました。家を建てた時に名義変更をしてくれていると思っていたら、していませんでした。名義変更の手続きで父方も母方も2代、3代とさかのぼらなければならず…とても時間がかかり、ややこしかったです。
空き家バンク登録や佐藤さんへの売却契約まではスムーズ。しかし、土地の名義が違ったというアクシデントで想定よりも空き家の引き渡しに時間がかかりました。
残置物の片付けはどのようにされましたか?
子供達に手伝ってもらい、片付けました。佐藤さんに購入していただける事になってから、子供達も片付けに乗り出してくれました。やはり、空き家を引き渡す見込みがないと、片付けを本格的に始められませんでした。建物2階には、よく運んだなって思う大きな家具がありまして、佐藤さんにこれは置いておきますか?どうしますか?とお聞きして片付けを進めました。どうしてもあかんやつは、分解して焼却場に持って行きました。
湯本さんの空き家は物が大量!という状態ではありませんでした。しかし、大きな家具やエアコンなど手つかずのものの処理は大変な作業になりました。
片付けていただいていたおかげで、僕はすごい助かりました。空き家を購入しても、全て物が残しっぱなしというところも多いので。
空き家バンクの登録する際、掲載価格はどのように決めましたか?
家内や子供達と話をしましたね。 高いんやったら絶対ダメやと。売れなかったら更地にしないといけませんからね。私は事務手続きの価格が約20万円くらい必要なことを考えると、100万円を超えたら絶対だめやなと思っていました。
空き家バンクで買い手(佐藤さん)がついた際のお気持ちは?
まさかお隣で買っていただけるとは。家内も良い人に買ってもらった!ってそれで片付けにも力が入ってました。
空き家バンクで空き家を購入された「佐藤さん」に聞く
湯本さんから空き家を購入した佐藤さん。佐藤さんは鳥羽市で映像・アニメーションスタジオ「イェンスの塔」を運営し、クリエーターとして活躍されています。実は空き家を購入されるのは今回で2度目です。ご自身でリノベーションされたことで、引き継がれた湯本さんの空き家はガラッと生まれ変わっています。
しっかり管理・活用していますので、ご安心ください。
雰囲気が変わって、ええようになっていますね。ありがとうございます。
空き家バンクで空き家を購入するまで、どのような流れでしたか?
- 空き家バンクで湯本さんの空き家を見つける。
- スグに、空き家の内覧希望を申し込む。
- 申込みから3日後に内覧が実現。内覧後スグに購入の意思を伝える。
- 湯本さんや行政書士さんと空き家購入の契約手続きを進める。
- 名義変更や空き家内の片付けを待った後、正式に引き渡しを受ける。
お隣の家でしたので、購入意思を強く持っていました。内覧した際、想像以上に綺麗でしたので、即決購入したい旨を伝えました。名義変更や片付けの期間は、約1ヶ月半くらい。行政書士を介して最終契約と鍵を1本いただいて手続きが完了しました。
お隣の空き家を購入しようと思った理由は?
隣であれば、臨機応変に使える選択肢がめちゃめちゃ多かったからです。例えば、親と一緒に暮らしたり、建て直しをしたり、誰かに貸すこともできる。自分の目で貸し出す人も選べます。
空き家を購入する際に見るポイントを教えてください。
片付ける労力やお金がかかるので、残留物が多いかどうかはしっかり見ました。他には浄化槽が入っているかどうか。トイレは汲み取り式だと、誰かに貸すにも何かに使うにしてもハードルがあります。新しく浄化槽を入れる場合は、200万円くらいかかってきます。
実際にリノベーションにはどれくらいの費用がかかりましたか?
当時、リノベーション予算として使えるのは50万〜70万円位を想定していました。50万〜70万円と幅をもたせているのは何が起こるかわからないからです。空き家のリノベーションは進めてみないと、何もはじまりません。直接、聞いていただいたらリアルな数字をお答えします。
何に一番お金がかかりましたか?
ガスボイラーが老朽化していて、業者さんに見てもらい全て取り替えることになりました。風呂場の水道管の劣化も見つかり、工事も含めて約13万円くらいかかりました。
空き家を購入して活用する際、佐藤さんの心構えを教えてください。
売り主が嘘をついていたっていうことじゃない限り、空き家活用は多少のトラブルがつきもの。30年使っていませんっていうお家のボイラーが、現役バリバリな訳ありませんよね。例えば、浄化槽がありませんという場合は僕の予算がオーバーしてします。想定予算を揺るがすポイントは、しっかり確認します。あとは雨漏りくらいですかね。ただ、空き家を購入して1年後に雨漏りがしてきた場合は、もう運が悪かったとしか言えません。
鳥羽の空き家に、新たな息吹が吹き込まみませんか?
いかがでしたか?
お2人のお話の共通点として感じたのは、空き家を売る、買うためにはどちらの立場においても、地道で柔軟な対応力が必要不可なこと。
空き家バンクをご利用にいただく際は、ぜひお2人のリアルな生の声をぜひご参考にしてみてください。そして、湯本さんから佐藤さんに空き家が引き継がれたように、これから鳥羽の空き家を未来へと引き継ぐきっかけに「鳥羽空き家バンク」をご活用ください。